診療症例

膝蓋骨内方脱臼(グレードⅣ)

膝蓋骨(俗に言う膝のお皿)が本来あるべき大腿骨の溝から、脱してしまう病気です。トイプードルなどの小型犬で、トイ種に多く認められます。また比較的少ないですが、膝の外側に脱する膝蓋骨外方脱臼が認められる場合もあります。
症状としては、たまに足を浮かせて歩いたり、スキップをしているように見られることがあります。また体を触っている時に、ガクッと脱臼するのを感じることもあります。

成長期の1歳齢未満に発症した場合もしくは先天的に存在する場合、骨の正しい成長を妨げることにより、骨の変形を引き起こしてしまうため、早期の治療が必要となります。
治療としては手術が基本となりますが、症状の強さや骨の変形の有無によっては保存療法となる場合もあります。
骨の変形が進んでしまった場合、手術の難易度が大きくあがるため、早期発見、早期治療が望ましい病気の一つです。

写真は膝蓋骨内方脱臼の最も悪いタイプで、グレードⅣに位置づけされたレントゲンです。この段階では膝蓋骨は正常な位置に戻すことはできず、骨の激しい変形が認められます。