診療症例

肛門嚢炎、肛門嚢閉塞、肛門嚢破裂

肛門嚢とは肛門の筋肉の間にある対をなす袋のことでアポクリン腺と皮脂腺の分泌物を貯留する機能を持ちます。分泌物は肛門周囲にある穴から排便時に排出されます。肛門嚢が炎症を起こすことを肛門嚢炎、分泌物が排出されずどんどん貯まってしまうことをを肛門嚢閉塞といいます。これらのトラブルが起きると初期には肛門付近の痒みから患部を舐めたり噛んだりする、肛門を地面に擦りつけるなどの症状がでます。病気が進行すると肛門嚢が破裂(肛門嚢破裂)し、肛門周囲の皮膚が破けてしまうこともあります(写真)。
 肛門嚢の分泌物は個体差が大きく、粘調性が低くサラサラとした液体の子や逆に分泌物の粘性が高くドロドロとした子、粘土性の分泌物の子など様々です。一般的に粘調性が低いと自力排出可能なことが多く炎症や閉塞が起きにくいですが、高いと起こりやすくなります。破裂してしまうと痛みも強く傷が治る時間も長くなってしまうため、定期的な肛門嚢絞りを行い分泌物を貯めないことが予防になります。